Japanische Klassiker mit Furigana
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かがくじょうにおけるけんいのかちとへいがい
科学上における権威の価値と弊害
寺田 寅彦
Lesen Sie 科学上における権威の価値と弊害 (かがくじょうにおけるけんいのかちとへいがい) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.966 Zeichen · 10 Bildschirme
そのうちにある室で何番目の窓からどの方向を見ると景色がいいという事を教えたのがあった。その時自分はこんな事を云った。「これでは自分で見物するのでなくてベデカの記者に見物させられているようなものだ。」自分は同行者の温順な謙譲な人柄からその人がベデカの権威に絶対的に服従してベデカを通しての宮園のみを鑑賞する態度を感心もしまた歯がゆくも思った。しかし考えてみると、多くの自然科学の学生がその研究の対象とする自然を見るのに、あるいは教科書を通しあるいは教師の講義録を通して見るのみで、自分の眼で自分の頭で自然を観察するものが果して幾何あるだろうかという事を考えざるを得なかった。
学生にとっては教科書や教師のノートは立派な権威である。これらの権威を無批判的に過信する弊害は甚だ恐るべきものでなければならない。もしノートや教科書の教ゆる所をそのままに受け取り、それ以上について考える所も見る所もなかったらどうであろう。その人は単に生きた教科書であって自然科学その物については何の得る所もないのである。
自然科学の目的とする所は結局自然その物である以上は本当の事は直接自然から学ばねば分るものではない。