Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Lesen Sie 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.829 Zeichen · 169 Bildschirme
謙一は、衰えた焚火に、一たばの枯枝と、チガヤを投げこんだ。
火勢は見る見る強くなり、ぱちぱちと火の粉が上って、あかあかと照らし出されたジャングルの林が、焔と一緒にゆらゆらと揺れるように思われた。
名も知れない野鳥が二、三羽、布きれを引き裂くような鋭い声で、ばたばたと飛び立って行くのが聞えた。
青い暁の色が、天幕の裾にしのび寄っていた。
英夫はびっくりして目をさますと、祥子を揺りおこして急いで外へ出た。
いつの間にか、ぐっすり寝こんでしまったらしく、焚火は、もう火が消えかかって、ぶすぶすとくすぶり、重くはいまわる紫の煙が、しずかに、樹々の葉の間から、暁の空に立ちのぼっていた。
不安な一夜は明けたのだ。
不吉な出来事がおこったあとなのに、ゆうべ何事もおこらなかったのが不思議に思われるくらいだった。
謙一は焚火のそばにいなかった。
「クラパも帰っていないし、兄さんもどっかへ行ったらしいね」
「お兄さんはきっと河よ」
丸木舟のつないである河べりに、二人は急いだ。
謙一は、丸木舟の中で熱心に何かをけずっていた。
「クラパが帰らないようですね!」
英夫が声をかけた。