Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Lesen Sie 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.829 Zeichen · 169 Bildschirme
ごま塩の頭は、うすくなっていたが、口髭の黒い、眼尻にしわのある将軍の顔は、写真で見るのとそっくりだった。ただ、和服を着ておられるので、これがあの有名な将軍だとは思われないほど親しみやすい好々爺に見えた。
英夫は、軍隊式に、腰をかがめて敬礼した。
「やあ、よく来てくれましたね」
将軍は、相変らず、にこにこしていた。
「どうです。河井に似ているでしょう」
うっかりしていたが、将軍とは、斜めに向い合うように坐っていた客が、笑いながらいった。
英夫の兄よりは、すこし年上らしい、茶色の背広を着た、どこか見覚えのある顔の人だった。
「うむ、似とる似とる、河井中尉にそっくりな顔をしとるな」
将軍は、上機嫌らしく、机の上のたばこ盆から、たばこを一本つまみ出して、火をつけた。
村山曹長は、それをしおに、
「では失礼いたします」
と、立上った。
「ご苦労ご苦労」
将軍は口癖のようにそういって、急に思いついたらしく、
「あの方は大丈夫だろうな、村山君」
「は、明朝、間違いございません」
「君、ひとつ、時間に間に合うように車をとばしてくれんか」
「は、かしこまりました」
曹長は英夫にも目礼して出て行った。