Japanische Klassiker mit Furigana
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たねがみのあおむころ
種紙の青む頃
前田 夕暮
Lesen Sie 種紙の青む頃 (たねがみのあおむころ) von 前田 夕暮 (まえだゆうぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.464 Zeichen · 3 Bildschirme
私は学校から帰るや否や、包みをそこに放り出しておいて、勝手元に駈けあがり、板の間にお膳を持ち出して、おおきな茶碗をかかえるようにしながら、飯櫃から冷たい飯を手盛りにしては、湯をかけて、さらさらと流し込むのである。二杯ばかりはいつか知らぬまに胃袋のなかに流れ込んでいる。三杯目をさらさらと食べながら、障子をあけはなしてある座敷越しに、遠く田圃向うの畑を見渡すと、菜の花が黄いろく咲いている。その菜の花のなかを大きな人の頭が動いてとおる。その人の頭が此方をみて鳥渡お辞儀をしたと思ったら、つと見えなくなる。するとそのあとから白い手拭をかぶった若い女が矢張りお辞儀をして行く。それは庭に立っている父に往還を通る人が挨拶して行ったのだとわかる。で、私はまたさらさらと茶漬をかき込む。
笊に間引いた京菜を入れて、上の畑から母が帰えってくる。
「おや、この子は御飯をたべているの。」
「俺はお腹が空いたから三杯食べたよ。それからね……。」
「もっと食べようと思って考えているの。」
「でも何にもお菜がないんだもの。」
「お菜なしで三杯もたべられたら沢山じゃありませんか。余り食べるとまた胃病になりますよ。