Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いのうはりまのかみ
稲生播磨守
林 不忘
Lesen Sie 稲生播磨守 (いのうはりまのかみ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.172 Zeichen · 29 Bildschirme
おれはそれが嬉しい。何よりもうれしい! おれはこれを探していた。おれの望んでいたものは、これだったのだ! どんなにそれを捜し求めたことか、おれのその味気ない胸中は、だ、誰も知らぬ。うむ、誰も知らぬ――加世の拒絶によって、おれは初めて男になった。加世はおれを、人間にしてくれたのだ。おれはもう馬鹿大名ではないぞ。郁之進と同じ人間だぞ、一人の男だぞ。それが郁之進と加世を争って、み、見事に負けたのだ。ははははは、ああ愉快だ、ああ愉快だ! 加世のおかげで、おれはやっと、この人間らしい、男らしい晴ればれとした気持ちを、とうとう味わうことができたのだ。その大恩人の身体に、どうして触れられよう! 郁之進! 加世は潔い身体だぞ。す、末長く、仲よく添い遂げい。
郁之進 (狂乱して)殿! お気を確かに――私はこの場に屠腹して、お詫びつかまつります。
播磨 ええいっ、馬鹿め! わからぬか。それでは余の念が届かぬ。
どやどや跫音を乱して家老矢沢、吾孫子老人、池田、森ら多勢走り込んでくる。一同この場の仕儀に愕然として、物をも言わず郁之進を召し捕りにかかる。
播磨 (すっくと起って、大手を拡げて郁之進と加世を背ろに庇う)何をするかっ! 郁之進に斬られて、余は今、生まれて初めて、日本晴れの気もちが致しておるところだ。