Japanische Klassiker mit Furigana
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あさまさんろく
空にむかひて 若杉鳥子随筆集
若杉 鳥子
Lesen Sie 空にむかひて 若杉鳥子随筆集 (あさまさんろく) von 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.542 Zeichen · 14 Bildschirme
昔はどんな風体の人間が往き来したものだろうか、侍だの、奴だの、御殿女中だの……その頃は勿論、葛か何かの危険な橋だったに違いなく、雪が降ったら美しい風景だろう――なんて、此処でやっと童話的な気分を少し味わう。フォンテンブロオの森にあるミレエとルソオの記念碑に模して、天然石へパネルを嵌め込んだものだという、千曲川旅情の歌の碑は、城趾の崖の上にはあるにあるが、「千曲川いざよふ波の」という千曲川よりも、つい眼の前の新しい製糸工場の建物の方がよっぽど眼に近い。向こうの翠の丘の下をうねうねと流れている千曲川の水は、掩いかぶさった老松の間から、奔騰する泡のように、白く光ってみえるだけだった。
城というものは大抵高所に築かれるものだが、この城は穴城といって、千曲川の水利に拠るもので、こういう築城法は、古来日本にも類例がないんです――と土地の青年がいっていたが、今はもうそれらしいものもなくて、石垣ばかりしか見られない。
碑の傍に腰をおろしていると、一緒に上ってきたアッパッパに日傘の娘さん達も、そこに来て休んだ。だが彼女たちは詩碑にチラと一瞥をくれただけで、外の景色を見おろしながら、いろんな話をしていた。