Japanische Klassiker mit Furigana
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くうをとぶパラソル
空を飛ぶパラソル
夢野 久作
Lesen Sie 空を飛ぶパラソル (くうをとぶパラソル) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.190 Zeichen · 40 Bildschirme
「そいつは新聞に出せないかい」
「出してもいいですけど屍体を掻きまわして掴んで来たものなんです。検事局へ引っぱられるのはイヤですからネエ」
「いいじゃないか。あとは引受けるよ」
「……でも……あなたと一緒に飲めなくなりますから……」
「アハハハハ。そうかそうか。サヨナラ……」
「……サヨナラ……」
それから三四十日経った或る蒸し暑い晩の事、私は東中洲のカフェーで偶然に私服を着た大塚警部に出会した。警部は誰かを探しているらしかったが、私が声をかけると、すぐに私の卓子に来てビールを呼んだ。その顔を見ているうちにフト思い出して尋ねて見た。
「時にどうしたい……アノ事件は……」
「……アノ事件?……ウンあの事件か。あれあアノマンマサ。医学士は二人とも君のお筆先に驚いたと見えて、その後神妙にしているよ」
「イヤ。女の身許の一件さ」
「ウン。あれもそのまんまさ。今頃は共同墓地で骨になっているだろうよ。可哀相に君のお蔭で親に見棄てられた上に、恋人にまで見離された無名の骨が一つ出来たわけだ」
「……………………」
「何でも女が線路にブッ倒れてから間もなく、色男の医学士らしい、洋服の男が馳けつけて、懐中や帯の間を掻きまわして、証拠になるものを浚って行ったという噂も聞いたが、その時刻にはその色男は、チャント下宿に居ったというからね。