Japanische Klassiker mit Furigana
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くうちゅうふんぼ
空中墳墓
海野 十三
Lesen Sie 空中墳墓 (くうちゅうふんぼ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.986 Zeichen · 28 Bildschirme
左へ曲るも右へ曲るも畢竟、月の引力を受けていたのだ。故意か偶然か、宇宙艇は遂に火星へ飛ぶべき進路を妨げられてしまった。
宇宙艇の船腹には太陽の光がとどいているので鳶色の船体がくっきり浮び出ていた。其の時、望遠鏡の円い視界の中に、左端からしずしずと動き出でたものがあった。銀色に光る小さいTの字。おお、それは紛れもない松風号だった。
――松風号は宇宙艇のすぐうしろにつづいてこれを静かに追っているかのように見えた。追うも追われるも、これ倶に屍体にあやつられる浮船である。私が企てた復仇を待つまでもなく今天涯にのがれ出でた相良十吉であったが、風間真人の執念は未だにくつることなく彼の人の上にかかっているようだ。二つの浮船の行手間近かに聳え立つは荒涼として死の国の城壁かと思わるる月陰の地表である。凄惨限りなき空中墳墓! おおこの奇怪きわまりなき光景を望んで気が変にならないでいられるものがあり得ようか。私は、真弓子と其の愛人に望遠鏡をゆずることさえ忘れて、其の場に立ちつくしていたのである。