Japanische Klassiker mit Furigana
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くうちゅうせいふく
空中征服
賀川 豊彦
Lesen Sie 空中征服 (くうちゅうせいふく) von 賀川 豊彦 (かがわとよひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.687 Zeichen · 215 Bildschirme
の虜として、万目の前に曝らしものになった積りでいた。しばらくして川底の哲学者、田螺犬儒先生、自分の住まいを身体にひっつけたままノロリノロリと虜になった市長のところにやって来た。
「喃! 人間の子、人間の世界はよほどうるさいじゃろうなア? 」
いきなり、哲学的な質問をするものだから市長も一本参ってしまった。
「うるさいだろう。うるさいだろう。どうせ蛙の子の出世したものの間に平和のあるべきはずがない。この小溝の中でも平和を乱すものは、いつでもめだかを食う殿様蛙に限っている。人間の子はみな蛙の子の成り上りものじゃ。あいつらの間に平和の見出さるべき道理がない」
賀川市長はそれに対して、抗議したいと思うたが、どうしても口が開かない。口まで虜になっていることに彼は始めて気がついた。田螺先生はひとりしゃべっている。
「蛙の世界でも、そうじゃが人間の子の間でもそうだろう。子を生むだけ生んで、それを育てる段になると、弱肉強食でえらいもの勝だろう。人間の子はえらい悪くなったという評判がここにも立っているが、おまえもその生存競争に負けた落ち武者の一人かのう? 人間の子の世の中は実に浅ましいことじゃなア。