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Japanische Klassiker mit Furigana

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くうちゅうせいふく

空中征服

賀川 豊彦

Lesen Sie 空中征服 (くうちゅうせいふく) von 賀川 豊彦 (かがわとよひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.687 Zeichen · 215 Bildschirme

Aozora Bunko

七〇 菊子の母親

しっかりしたまえ。そんなに悲観しちゃ困るじゃないか! 」

こう言うて慰めたのが、島村信之であった。

菊子は、父の変死の後、まったく元気がなかった。それでも父の葬式が済むまでは、気も張りつめていたから、別に変ったようにも見えなかったが、式が済むと急に弱ってしまった。まるでヒステリーのようになって、家の用事さえ出来なくなった。

自分の室に入って、朝から泣いてばかりおった。

もちろん、その反面には、自分の恋愛に対する煩悶もあった。松島はこの際どうしても菊子を嫁に貰いたいと、菊子の母に言うた。弱い菊子の母は松島の意見に従うらしく見えた。

「崇徳院さんのご意見も、菊子が松島へ行くようにというのであったのですから……」

と後を濁して、菊子に妙なことを母が言うた。それが、菊子を弱らす何よりの問題であった。スッキリ、島村の懐に飛び込んでしまえばすべての問題は解決するのだが、乙女心の純潔を思うた彼女は、乱暴なことをする勇気もなくただ悶えた。

しかし、母も、菊子の煩悶を察したと見えて、とうとう、島村に言うた。

「島村さん、またこの上、菊子の身の上に変ったことがあっても悪いと思いますから、どうか、菊子の身のためになるなら、どんなになってもよいですから、どうか心配してやって下さい」