Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くうちゅうせいふく

空中征服

賀川 豊彦

Lesen Sie 空中征服 (くうちゅうせいふく) von 賀川 豊彦 (かがわとよひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.687 Zeichen · 215 Bildschirme

Aozora Bunko

二〇 恵比須屋吉兵衛

第一、後宮の貧民窟では木という木がみな煙のために枯れてしまう。隣の縄屑拾いのおばさんは、朝顔の花が煤煙のために黒く咲くと言うて笑い、植木鉢の作りものが片っぱしから枯れてゆくと言うてこぼしている。

植木が枯れてゆくくらいであればよい。赤ン坊が死んでゆく。七日の間に近所の赤ン坊が二人死んだ。二人とも肺炎である。

向い隣の煙筒掃除のお爺さんも死んだ。朝五時から晩の八時頃まで、長い割竹の先にしゅろうのささらをつけて、ヒョコリヒョコリ歩いていたお爺さんが死んだ。額も、頬ぺたも、顎も、頸も、身体全体を真黒にして一日煙筒掃除に回っていたお爺さんが死んだ。彼は寝ながら長屋を出る棺桶に敬意を払い、世界に大きな隙があることを泌々と考えたのであった。

二〇 恵比須屋吉兵衛

挿絵20

彼は足をひきずりながらも、少しずつ歩けるようになったので、貧民窟の表に散歩に出るように努めた。貧民窟に長くいると、嘔吐を催すように感ずるからであった。後宮の貧民窟は煙があまりにひどいので、家の小さいことは苦にならないにしても、煙のために喉がつまるように感じる。それに路次にコークスを敷いてあるものだから、なお堪らない。