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Japanische Klassiker mit Furigana

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とってい

突堤

宮本 百合子

Lesen Sie 突堤 (とってい) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.221 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

炎天の下で青桐の葉が黝んで見えるほど暑気のきびしい或る夏の単調な午後、格子の内と外の板廊下にいる者とが見えないところでこんな話をしている。

「どうしたんだか、まだ写真を送ってよこさないんだがね」

「江の島で撮ったんですか」

「ああ、子供ら五人ズラッとハア並べちゃってね。わしと女房と撮ったが――どうしたもんだか……」

「いくらでした?」

「三枚で一円さ」

「――普通は二週間は待ってやらなくちゃね。所書分っているんでしょう?」

「あア、ちゃんと受取の帳面があんでしょ? あれに書いていたったがね」

「受取を持ってりゃ大丈夫ですよ」

「それがよウ、どうしたことか家さ帰って、なんぼ見ても、どこさ放ろったもんか見当らないから困ってよ」

「そりゃ困った。まさか騙すってこともないだろうが」

「ふーむ」

声のなかに響いている東北の訛が私に、広くて黒びかりのしていた台所の涼しい板の間を思い浮ばせた。

小学校が夏休みになると、子供らの中で私一人が田舎のおばあさんのところへ出かけた。東北に向って行く汽車は、その時分黒くて小さかった。私は袴をはいて窓際に腰かける。汽車は一つ一つの駅にガッタンととまり、三分、又五分と停車しながら次第に東京を離れて東北の山野の中へ入って行くのであったが、私にとってこの八時間の旅は、暑いのと、開けた車窓から石炭がらが目に