Japanische Klassiker mit Furigana
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かまどのなかのかお
竈の中の顔
田中 貢太郎
Lesen Sie 竈の中の顔 (かまどのなかのかお) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.439 Zeichen · 15 Bildschirme
「お客さん、待ってくださいませ、それを云ってはなりません、それが恐ろしい坊主じゃ、それをあなたが人に話すと、生命がありません、そのことじゃ、それを云ってはなりません、早く私の家を出て、今晩は、そっとどこかへお泊りになって、お江戸の方へお帰りになるが宜しゅうございます、私は人に聞いております、早くお帰りなさいませ」
主翁は顔の色が変って声も顫えていた。
「しかし、おかしいじゃないか、ぜんたいありゃなんだろう」
三左衛門は不思議でたまらなかった。
「そ、それを云ってはなりません、あなたはきっと不思議な目にお逢いなされたでしょう、何もおっしゃらずに、すぐここをお発ちになるが宜しゅうございます、決して何人にも云ってはなりません、そのことを云うと、生命にかかわります」
「それにしてもおかしいじゃないか」
「ま、ま、もう、そんなことを云っては、駄目でございます、私は決して嘘を申しません、早く早く」
三左衛門も主翁の云うことははっきり判らないが、不思議だらけのことを見ているので、何か事情があるだろうと思って、江戸へ帰ることにして払いもそこそこにして出発した。
もう日が暮れていた。