Japanische Klassiker mit Furigana
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かまどのなかのかお
竈の中の顔
田中 貢太郎
Lesen Sie 竈の中の顔 (かまどのなかのかお) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.439 Zeichen · 15 Bildschirme
馬のたて髪のように黒い木の枝を冠った岩があって、その下の処に小さな小屋のようなものが見えていた。
「なるほど小屋だ」三左衛門はそう云ってから、ふと僧のことを思いだした。「あんな処におるかも判らないぞ」
「どなたでございます」
「毎日、俺の処へ碁を打ちに来るお坊主さ」
「あのお坊さんは、お寺にはおりませんか」
「寺にはいない、庵におるそうだ、ついするとあすこかも判らない、往ってみようか、山番の小屋だったところで、良いじゃないか、どうせ腹こなしだ」
三左衛門は路に注意した。岩が甃を敷いたようになっていて前岸へ渉るにはぞうさもなかった。二人はその岩を伝って往った。
雑木と岩の間に人の通った径のような処があったり、そうかと思ってそれを往ってみると、荊棘や葛がそれを塞いでいたりした。二人は時どき立ち止まって足場を考えてからあがって往った。
岩陰にある小屋が眼の前に来た。三左衛門は一呼吸入れてから小屋の口へ往った。
「もし、もし、しょうしょう、伺います」
「どなた」
中から声がして顔を出した者があった。それは彼の旅僧であった。
「あれほどお断りしてあったのに、来られたならしかたがない、まあ、おあがりくだされ」