Japanische Klassiker mit Furigana
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たちがれ
立枯れ
豊島 与志雄
Lesen Sie 立枯れ (たちがれ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.613 Zeichen · 41 Bildschirme
「話は別ですが、あなたのところに、西田重吉という職工はいませんでしたか。」
「西田……重吉。」
柴田はそうくりかえして、咄嗟の瞬間に中江の様子を窺ったが、それから俄に態度を変えた。
「ああ、あの男ですか……たしかまだ工場にいたと思いますが、勿論、近いうちに解雇することになっている筈です。全従業員の共同経営となると、ああいう男は一刻も置いてはおけませんし、そうでなくてもですが、何しろ、解雇するには、一人の職工でも、時期をみなければなりませんし……。」
それはまた、中江にとっては、意外な言葉だった。賃銀値下げと馘首とに対する絶対反対は、あらゆる場合の主要条項たるべき筈だったのである。その点をつっこまれると、柴田は明かに狼狽の色を見せ、西田は全職工の一致結束を乱すとだけ云って、それから、改革を要する種々の細かな規定などをもちだして、くどくどと説き立てるのだった。そして、共済基金の涸渇から、貸出規定の改正などの点になると、彼は明らかに反動的な立場に身を置いていた。そういう話に中江は耳をかしながら、西田のこと――窮屈そうな態度と、鋭い眼付と、どこかインテリくさい蒼白い顔と、自負のこもった短い言葉附などを、何ということなく思い浮べてるうちに、ふいに形体の知れない忿懣の情に駆られた。