Japanische Klassiker mit Furigana
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たちがれ
立枯れ
豊島 与志雄
Lesen Sie 立枯れ (たちがれ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.613 Zeichen · 41 Bildschirme
出迎えた小泉は一切をのみこみ顔に、てきぱきと事を運んでくれ、それに対ってまたキミ子は、普通の話でもするような態度で、既往の身体の調子を述べ立て、そして二人で隣りの診察室にはいっていったのである。
――やはり来てよかった。病気でも何でもないかも知れない。
そんなことを、煙草の煙の間にぼんやり考えるほど、中江は落付いていた。診察が手間取るのも気にならなかった。そしてやがて、診察室から出て来た小泉の言葉もそれを裏書してくれた。
「別に何でもないようだね。尤も、一回みただけではよくわからないけれど……。」
それを逆に、一回みてよく分らないくらいなのは大したことでないと、そういう態度で、煙草をふかし、看護婦をよんでお茶などを勧めるので、中江も益々いい気になっていった。そこへ、衣服をなおしたキミ子が勢よくとびこんできて、誰にともなくお辞儀をして、にこにこと笑って、中江と並んで椅子にかけた。
その時、小泉は、初めて見るかのようにじっとキミ子の上に視線をすえて、短くかりこんだ口髭にちょっと威厳をもたせて、徐ろに諭すように云うのだった。
「少し胃が悪いようですね。それも、食物の用心だけで充分で、薬をのむほどのこともありますまい。