Japanische Klassiker mit Furigana
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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
Lesen Sie 童話集 春 (はしがき) von 竹久 夢二 (たけひさゆめじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.531 Zeichen · 97 Bildschirme
2
春が来た。
桜の枝には蜂と風とが音を立てて居る。庭にはあなたと母様と二人きり白い花弁が雪のように音もなく散りかかる。
小鳥は朝の輝きのうちに囀っていた。
あなたは躍り、笑い、且歌った。
あなたの大きくみひらいた眼には、果てなき大空の藍色と見渡す草原の緑とが映り紅を潮した頬には日の光と微風とが知られた。
「母様見て御覧なさい、坊やが飛上りますよ」
「まあ」
「今度は逆立ち」
「まあ、お上手だこと」
「母様、坊やは大きくなってから何になるか知ってますよ」
「何になるの」
「曲馬師になるの」
「まあ」
「大きい白い馬に乗って、ねえ母様」
「まあいいことね」
「そしてお月様なんか飛越しっちまうんだ」
「お月様を、まあ」
「ええお月様を、見て御覧なさい」と言ってあなたはそとにあった熊手の柄を飛越えた。
それがお月様を飛越す下稽古でした。
「けども坊やは曲馬師にはならないかも知れないの、きっと、ねえ母様」
「曲馬師にならないって」
「ぼくは、ジョージ、ワシントンのように大統領になるの、父様がなれるっていいましたもの、なれるでしょうか、え、母様」
「そうね、なれましょうよ、何時か」
「だけども次郎坊なんかなれやしませんね、母様」