Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくせい
竹青
Lesen Sie 竹青 (ちくせい) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.978 Zeichen · 22 Bildschirme
早くこの黒衣を着なさい。」ふわりと薄い黒衣を、寝ている魚容にかぶせた。
たちまち、魚容は雄の烏。眼をぱちぱちさせて起き上り、ちょんと廊下の欄干にとまって、嘴で羽をかいつくろい、翼をひろげて危げに飛び立ち、いましも斜陽を一ぱい帆に浴びて湖畔を通る舟の上に、むらがり噪いで肉片の饗応にあずかっている数百の神烏にまじって、右往左往し、舟子の投げ上げる肉片を上手に嘴に受けて、すぐにもう、生れてはじめてと思われるほどの満腹感を覚え、岸の林に引上げて来て、梢にとまり、林に嘴をこすって、水満々の洞庭の湖面の夕日に映えて黄金色に輝いている様を見渡し、「秋風飜す黄金浪花千片か」などと所謂君子蕩々然とうそぶいていると、
「あなた、」と艶なる女性の声がして、「お気に召しまして?」
見ると、自分と同じ枝に雌の烏が一羽とまっている。
「おそれいります。」魚容は一揖して、「何せどうも、身は軽くして泥滓を離れたのですからなあ。叱らないで下さいよ。」とつい口癖になっているので、余計な一言を附加えた。
「存じて居ります。」と雌の烏は落ちついて、「ずいぶんいままで、御苦労をなさいましたそうですからね。