Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かんざしをさしたへび

簪を挿した蛇

中谷 宇吉郎

Lesen Sie 簪を挿した蛇 (かんざしをさしたへび) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.681 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

この雨天体操場は、式や会の時には講堂となり、休み時間には児童の遊び場であった。実際は雨天体操場などという新しい名前はなくて、私たちは溜りと呼んでいた。十分の休み時間には、この溜り一杯胡麻を散らしたように、児童たちが真黒く群って走り廻っていた。その中には四十年前の自分もいたわけである。柱が沢山あるので、陣取りには誂え向きであった。五組も十組もの陣取りが、それぞれ好みの柱の群を占領して、縦横に馳け廻るので、呼び声叫び声が、薄暗いこの体操場に一杯に満ちあふれていた。

薄暗いといえば、この体操場の奥の半分、柱が林立していたところは、昼でも本など読めないくらい暗かった。その中心部に、何のあとかは考えたこともなかったが、三尺四方の四隅に、四本の柱が立っているところがあった。林立する柱の中で、この四本の柱だけが何となく目に立った。其処は「四本柱」という名前がついていた。何か気味の悪いところで、子供たちの間には、一種の魔所に考えられていたようであった。何年の時か忘れたが、この「四本柱」の床の下には、女の髪の毛が埋められているという風説が流布され、私たちは真面目にそれを信じていた。