Japanische Klassiker mit Furigana
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ふんにょうたん
糞尿譚
火野 葦平
Lesen Sie 糞尿譚 (ふんにょうたん) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.974 Zeichen · 99 Bildschirme
以上の実情を調査下され、善処ありたい。――という意味の歎願書であった。これに彦太郎は、午前中をつぶして、叮嚀に一々署名し、捺印した。郵便で発送してしまうと、写しに残した歎願書をもう一度読み返し、にこにことうなずき阿部さんはなかなか学者であると感心した。
この歎願書は端なくも各方面に多大の反響を捲き起し、いろんな問題を惹き起した。政党的に何等の関係のない人達は、時折、直接彦太郎から愚痴を聞かされて同情していた小学校長を初めとして、市当局の片手落を詰問した。反対派の新聞は、人道を無視する民政党の横暴、というような見出しで、麗々しく書き立てた。警察からも市に事情の調査に衛生部長がやって来た。問題が問題だけに、一般の輿論のごとく、一政党の勢力下に身動きも出来ぬ卑屈無力なる市当局への批難が湧き上って来た。民政党は早速幹部会を開いた。市は歎願書を受け取った四日目に、緊急市参議会を召集した。議案として、糞尿汲取人夫請負賃増額の件が日程に上され、杉山衛生課長の説明があった後、討議に入った。友田喜造と赤瀬春吉の顔は見えなかった。これは何等かの政治的に利用されたのである、我々は反対党の策動に乗る必要はない、増額は無用だ、という者もあったが、結局、問題の性質上、飽く迄も反対だということは押し通せなかった。