Japanische Klassiker mit Furigana
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こうばいのきゃく
紅梅の客
吉川 英治
Lesen Sie 紅梅の客 (こうばいのきゃく) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.574 Zeichen · 15 Bildschirme
それの腹痛タのせいか、次の日の川奈ゴルフの三社の会では大いにふるわず、大岡昇平やら石坂洋次郎にピースを取られて、その日の夕食にも顔を見せず、聞けば、早くも湘南の自宅へ帰ってしまったとのこと。そしていまだに近来は、机にいる日が多いように聞いている。さだめし奥さんやお嬢さんだけにはよろこばれているかと思う。
ゆうべの夜半の春雷と雹の音も、彼は机で聞いていたであろうか。そして今日の春日には、また彼の一芸の内である薪割りでもしていることかもしれない。古い女をとかく笑うが、男の中にもおかしなものがまだ生きている。そして吉原はない、赤線もない。無いかのようにすべて見える。変遷に変遷してゆくテンポだけが意識にある。だがこうして庭の紅梅を頬杖ついて見ていると、紅梅の深さは何かへ抵抗しているみたいにあくまで真紅であった。明治の色とも変っていず、その幹を切っても幹のしんまで紅いのだからふしぎでならない。
(昭和三十五年)