Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
はテーブルの上を一度片づけて、新たに自分が仕入れて来た生牡蠣や、イクラや、胡瓜の酢漬や、豚肉鶏肉肝臓等々の腸詰や、又しても幾種類ものパン等を並べた。漸く酒が出て、ウォツカと、ビールと、ビールのコップに盛られた熱燗の日本酒とが交ぜこぜに勧められたが、露西亜人達のうちでも「お婆ちゃん」とカタリナとは日本酒を好んで飲んだ。矢張心配した通りテーブルの周囲には掛けきれないで、カタリナは火を焚いてない煖炉棚のところに立って凭りかかりながら、「お婆ちゃん」は用事をする相間々々に人々の背後から手を伸ばしながら、飲み食いした。フォークやナイフが不揃いであったり足りなかったりして、時々カタリナは手づかみで物を食べていたが、そんなところを偶客に見付けられると真っ赧な顔をするので、貞之助達はそれに気が付かない風をするのに骨が折れた。
「あんた、その牡蠣食べんときなさい。………」
と、幸子はこっそり貞之助に耳打ちをした。生牡蠣とは云っても特別に吟味した深海牡蠣ではなくて、そこらの市場で買って来たものに違いない色をしているのに、それを勇敢に食べている露西亜人達は、そう云う点では日本人よりずっと野蛮であるとしか思えなかった。