Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
それに又、そう云えば丹生夫人までが、いつも幸子とは大阪弁で話す癖に、今日はお附合いのつもりか完全な東京弁を使うので、まるで別の人のようで、打ち解ける気になれないのであった。成る程丹生夫人は、大阪っ児ではあるけれども、女学校が東京であった関係上、東京人との交際が多いので、東京弁が上手なことに不思議はないものの、それでもこんなにまで堂に入っているとは、長い附合いの幸子にしても今日まで知らなかったことで、今日の夫人はいつものおっとりとしたところがまるでなく、眼の使いよう、唇の曲げよう、煙草を吸う時の人差指と中指の持って行きよう、―――東京弁は先ず表情やしぐさからああしなければ板に着かないのかも知れないが、何だか人柄が俄に悪くなったように思えた。
で、いつもなら少し気分のすぐれないくらいは辛抱しても人をそらさない幸子なのだけれども、今日ばかりは三人のしゃべるのを聞いていると苛々して来て、いやだと思うと一層体が大儀になり出して、つい顔色にも現れるので、
「ちょっと、丹生さん、悪いわ。―――もう失礼しましょうよ」
と、下妻夫人が気を利かしてそう云いながら立ち上った時、強いてそれを止めようともしないでしまった。