Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
夫が云うように幸いにして後が出来てくれたらよいが、そうでなかったら、恐らく自分は何年立っても、ああ、今頃生きていたらこのくらいになっているのになあと思い思いして、いつ迄も忘れられないであろう。大方このことが一生癒やし難い悔恨となって附き纏うであろう。………そして幸子は、もう一度強く己れを責め、夫と、失われた胎児とに償いようのない罪を犯したことを謝しつつ、又しても新たな涙が一杯溜って来るのを感じた。
陣場夫人のところへは、度々のことであるから、本来ならば誰かが出向いて断りを云うべきなのであったが、貞之助は全然面識がないことでもあり、且先方は、いつも夫人が交渉の任に当っていて、主人の陣場仙太郎なる人はまだ表面に出て来たことがないので、取りあえず六日の晩に、幸子の代筆として貞之助が書面をしたため、又々延期と云うことは寔に申しにくいのだけれども、生憎な時に妻が風邪で熱を出したので、何とも勝手ながら、さしあたり八日は日延べを願いたい、但し念のために申し添えるけれども、全くそれだけの事情なので、他に何の理由もあるのではないから、その点は誤解のないようにお願い申したく、風邪と云っても大したことはないらしいから、一週間も待って戴いたら大丈夫だと存じますと、速達便を以て申し送った。