Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
そして、野村さんのお宅は青谷で、同じ方向ですから、いくらか廻りになりますけれども乗せて行って上げて下さい、と云うのであった。貞之助は、新国道を一直線に帰るのと、青谷を廻って帰るのとでは、距離にしても大分相違があるばかりではない、青谷方面は路も悪く、勾配も多いことであるから、動揺が激しいのは知れているので、重ね重ね思いやりがなさ過ぎるのに又しても忿懣を覚えながら、車がぐいと曲る毎に妻がどんな顔をしているかとヒヤヒヤしたが、男三人が前列に席を占めたので、そのつどうしろを振り向く訳にも行かなかった。と、青谷の近くへ来た時に、野村が突然、如何です、珈琲を一杯さし上げたいから皆さんでお立ち寄り下さいませんか、と云い出した。そのすすめ方が実に熱心で、此方が再三辞退したぐらいでは聴き入れず、むさくろしい家ですけれども見晴らしのよいことは北京楼以上です、座敷に坐りながら港が一と目に見えるところが自慢なんです、まあちょっと上って、僕の生活ぶりも見て行って下さい、と、頻りに云う傍から陣場夫婦も口を添えて、折角ああ云われるのだから是非寄って上げて下さい、野村さんのお宅には婆やと小女がいるだけだそうで、誰にも気兼ねはありません、こう云う機会にお住居の模様を見ておいて下さったら何かの参考になるでしょう、などと云うのであったが、貞之助