Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
商業用の手紙だけは始終書かされますけれども」
「雪子お嬢さんは、今でもずっと仏蘭西語のお稽古をなすっていらっしゃいますの」
と、井谷が聞いた。
「はあ、………姉が習っているものでございますから、そのお附合に、………」
「先生は誰方でいらっしゃいますの、日本人の方? 仏蘭西人の方?」
「仏蘭西人で………」
と、雪子が半分云いかけたあとを幸子が引き取って、
「………日本人の奥さんになっている方ですの」
と、附け加えた。そうでなくても人中へ出ると一層物が云えなくなる雪子は、こう云う席では「でございます」の東京弁で話すのがギゴチなくて、自然言葉の終りの方が曖昧になるのであるが、そこへ行くと幸子の方は、矢張いくらか云いにくそうに言葉尻を胡麻化しはするものの、それでも大阪流のアクセントが余り耳に附かないような技巧を使って、どんなことでも割合に不自然でなく器用にしゃべった。
「その奥さんは日本語が話せるんですか」
と、瀬越がまともに雪子の顔を見ながら云った。
「はあ、初めは話せなかったのでございますけれど、だんだん話せるようになりまして、この頃ではもうえらい上手に………」
「それが却って為めにならないのでございます」