Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
れて、わたしに赤ちゃんを見さして置いて、立って行ってしまわれますの。そして暫くしましたら、紅茶を入れて、―――ついでに、赤ちゃんに上げる牛乳の中へパンをどろどろに溶かしたものを、沸かして持って来られまして、どうも有難うございました、さあどうぞお茶を一つ、云いながら、椅子に掛けたと思ったら、途端にこう、腕時計を見て、あ、これからショパンが始まりますわ、奥さんもお聴きになりません? 云われて、ラジオのスイッチを開けて、一方では音楽を聴きながら、一方ではその間も手を休めずに、牛乳を匙で掬っては赤ちゃんに飲ましておられますの。―――そんな工合に、始終時間を無駄にせんように段取りをつけて、お客様の相手と、ラジオ音楽の享楽と、赤ちゃんの食事と、三つを一遍に済ますなんて、実に頭のよく働く機敏な遣り方だと思いまして、………」
「赤ちゃんの育て方なんかも、現代式はすっかり違っておりますのね」
「その奥様も云うておられましたわ、―――母がときどき孫に会いたいと云って訪ねて参るのは宜しいのですが、折角抱かないような習慣をつけてありますのに、年寄が来ると無闇に抱くものでございますから、そのあと暫く、抱いてやらないと泣くようになりまして、又もとの習慣をつける迄に骨が折れて困ります云われて、―――」