Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

十二

雪子は先刻の白葡萄酒が今になって循って来たらしくて、両頬にぽうッと火照りを感じながら、もう阪神国道を走っている車の窓から、微醺を帯びたチラチラする眼で、濡れた鋪装道路に映る無数のヘッドライトの交錯をうっとりと見ていた。

十二

明くる日の夕方、貞之助は家に帰って来ると、

「今日井谷さんが事務所へ見えたで」

と、幸子の顔を見るなり云った。

「何で又事務所へ行かはったんやろ」

「お宅へお伺いせんならんのですけど、今日用事があって大阪まで参りましたので、そのついでに、奥さんよりは御主人の方がお話が早い存じまして、突然で失礼でございますが此方へお伺いさして戴きました云うねん」

「そんで、どんな話?」

「大体ええ話やねんけど、―――ま、彼方へ来なさい」

と、貞之助は幸子を書斎へ連れて行って語った。

井谷が云うには、昨夜貞之助たち三人が帰ってから、外の者達は二三十分なおあとに残って話し合った。そして要するに、瀬越は大変乗り気なのであるが、ただ、お嬢様のお人柄やお器量については全く申分ないけれども、お目に懸った感じではいかにもお弱そうに見えるのが気になる。ついては、御病身と云うようなことはないであろうか。