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Japanische Klassiker mit Furigana

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えほんのはる

絵本の春

泉 鏡花

Lesen Sie 絵本の春 (えほんのはる) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.447 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

その草双紙である。一冊は、夢中で我が家の、階子段を、父に見せまいと、駆上る時に、――帰ったかと、声がかかって、ハッと思う、……懐中に、どうしたか失せて見えなくなった。ただ、内へ帰るのを待兼ねて、大通りの露店の灯影に、歩行きながら、ちらちらと見た、絵と、かながきの処は、――ここで小母さんの話した、――後のでない、前の巳巳巳の話であった。

私は今でも、不思議に思う。そして面影も、姿も、川も、たそがれに油を敷いたように目に映る。……

大正…年…月の中旬、大雨の日の午の時頃から、その大川に洪水した。――水が軟に綺麗で、流が優しく、瀬も荒れないというので、――昔の人の心であろう――名の上へ女をつけて呼んだ川には、不思議である。

明治七年七月七日、大雨の降続いたその七日七晩めに、町のもう一つの大河が可恐い洪水した。七の数が累なって、人死も夥多しかった。伝説じみるが事実である。が、その時さえこの川は、常夏の花に紅の口を漱がせ、柳の影は黒髪を解かしたのであったに――

もっとも、話の中の川堤の松並木が、やがて柳になって、町の目貫へ続く処に、木造の大橋があったのを、この年、石に架かえた。