Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜっけいばんこくはくらんかい
絶景万国博覧会
小栗 虫太郎
Lesen Sie 絶景万国博覧会 (ぜっけいばんこくはくらんかい) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.752 Zeichen · 31 Bildschirme
そのうち女雛の方が、一本の長笄――それは、白鼈甲に紅は鎌形の紋が頭飾りになっているのを、抱いていたからである。杉江は、もの静かに眼を返して、それをお筆に問うた。
「ねえ御隠居様、たしかこの笄は、花魁衆のお髪を後光のように取り囲んでいるあれそうそう立兵庫と申しましたか、たしかそれに使われるもので御座りましょう。けども真逆の女のお客とは……」
お筆は、相手が気に入りの杉江だけに、すぐその理由を説明しようとする気配を現した。クッキリ結んだ唇が解けて、顔が提灯を伸ばしたように長くなったが、やがてその端から、フウとふいごの風のような呼吸が洩れて行って、
「いいえ、実はそれが、私のものなんだよ。私のこの白笄は、いわば全盛の記念だけど、玉屋の八代の間これを挿したものと云えば、私の外何人もなかったそうだよ。それには、こう云う風習があってね」と国分を詰めて、一口軽く吸い、その煙草を伊達に構えて語り出した。
「まあ御覧な。笄の頭がありきたりの耳掻き形じゃなくて、紅い卍字鎌の紋になっているだろう。それが、朋輩だった小式部さんの定紋で、たしか、公方様お変りの年の八朔の紋日だと思ったがね。