Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうはなび
線香花火
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 線香花火 (せんこうはなび) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.329 Zeichen · 9 Bildschirme
やはり内部での化学変化が充分進行しないうちは、表面だけ少し温度が上がったのでは駄目らしい。しかしこのアークで照らしながらよく見ると、丁度煙草を輪に吹いた時のような煙の輪の非常に小さいもの、まず南京玉くらいの煙の輪が盛んに火球の表面から放出されているのが見えた。これは火花としては眼に見えないくらいの極微の熔融滴が盛んに射出されるためと思われる。その状態が進んで、化学変化がもっと激しくなると、温度の微変動ももっと大きくなり、或る一部で相当の大きさの塊を射出し得るくらいの瓦斯発生を伴う変化が起り、その時射出された小滴が火花として眼に見えるのである。
この頃電気花火という名前で販売されている西洋ふうな花火は、アルミニウムの粉を主としてこれに光を増すためにマグネシウムを少量加え、硝石その他の燃焼を助ける物質を混じて糊で針金に固めつけたものである。この花火では火球は出来ず、点火と同時に多数の火花を連続的に放出し続けて消えてしまう。この花火では松葉のような複雑で美しい火花は勿論見られないし、火球がジリジリ沸騰している間の絢爛の前の静寂も味わわれない。松葉の美しさは単に炭素の粉が赤熱されて放出されるだけでは起らないのであって、空気中を或る距離だけ走って急激な爆発的の燃焼が起るまでは他の物質で包まれている必要があるのである