Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

わなにかかったひと

罠に掛った人

甲賀 三郎

Lesen Sie 罠に掛った人 (わなにかかったひと) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.112 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

友木の眼には涙がにじみ出た。彼はそれを払い退けるように、眼を瞑って頭を振ったが、彼の握りしめた拳は興奮の為にブルブル顫えた。

この春、彼と妻とは続いて重い流行性感冒に罹った。ずっと失業していた友木は、それまでに親戚や友人から不義理な借財を重ねていたので、万策尽きて玉島から五十円の金を借りた。それからと云うものは、友木は病気から十分に恢復し切らない身体で、血のような汗を流しながら、僅かな金を得ると、その大半は利子として玉島に取られて終うのだった。そして、借金は減る所か、月と共にグングン増えて、いつか元利積って二百円余りになった。玉島は少しも督促の手を緩めず、殊に年の暮が近づいて来ると、毎日のように喚めき立てに来るのだった。友木夫妻が三日ばかり食物らしいものを口にせず、年の暮を控えて、一銭の金も尽き、路頭に迷い出る他に道のなくなったのは、玉島の為だと云っても好いのだった。

妻の帰りを待ち侘びながら、友木の心の中は玉島を呪う念で一杯だった。

ジ、ジ、と異様な音を立てて、最後の蝋燭が燃え切ろうとした。ゆらゆらとゆらめく焔に、鶏小屋にも勝って荒れ果てている室の崩れ落ちた壁に、魔物を思わすような彼の黒い影が伸びたり縮んだりした。