Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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びしょうねん

美少年

岡本 かの子

Lesen Sie 美少年 (びしょうねん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.417 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

空地の少い下町では物干台は運動場でもあり庭でもあった。そこの朝顔鉢に少年はよく水をやりに出た。

「あんな綺麗な男の子、見たことはありませんよ。聘んでお酒でも飲ましてやりたいようだねえ」

そういってお祖母さんは少年をとうとう病室へ呼び寄せてしまった。

このお祖母さんは永らくの間、大名屋敷の奥勤めをして、何事にも躾はやかましい方だったから、この少年に対するお祖母さんの仕方はわたしを驚かせた。お祖母さんは奥勤め中たまさかの休みに芝居見物に行き贔屓のこども役者を芝居茶屋へ聘んで纏頭をとらせるのを楽みにしたという話だから、この美しい少年に対しても或はそんなつもりぐらいのとこかも知れない。

少年はわたしの病室へ出入りをするようになってずいぶん横着でわが儘に振舞った。わたしは富家に育った権威振った考えから、なんの下町の貧乏人のむす子が少しの美貌を盾にしたところでと、蔑みもし口惜しがることもあったけれど、お祖母さんは王子に侍く老女のようにただただ少年の機嫌を損ずることを惧れた。そしてわたしを引廻す少年の圧制振りを大満足をもって眺め、それに就て争うわたしの不平さえ、快い噂のように笑みくずれて聞き惚れるのであった。