Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうふうふ

老夫婦

黒島 伝治

Lesen Sie 老夫婦 (ろうふうふ) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.957 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

「何ぞいの?」

「会社へ勤めるのに新の洋服を拵えにゃならん云うて来とるんじゃ。」為吉は不服そうだった。

「今まで服は拵えとったやの。」

「あれゃ学校イ行く服じゃ。」

「ほんなまた銭要らやの。」

「うむ。」

「なんぼおこせ云うて来とるどいの?」

「百五十円ほどいるんじゃ。」

「百五十円!」おしかはびっくりした。「そんな銭がどこに有りゃ! 家にゃもうなんにも有りゃせんのに!」

「洋服がなけりゃ会社イ出られんのじゃろうし……困ったこっちゃ!」為吉はぐったり頭を垂れた。

三

学校を出て三年たつと、清三は東京で家を持った。会社に関係のある予備陸軍大佐の娘を妻に貰った。

為吉とおしかは、もうじいさん、ばあさんと呼ばれていいように年が寄っていた。野良仕事にも、夜なべにも昔日のように精が出なくなった。

債鬼のために、先祖伝来の田地を取られた時にも、おしかはもう愚痴をこぼさなかった。清三は卒業後、両人があてにしていた程の金を儲けもしなければ、送ってくれもしなかった。が、おしかは不服も云わなかった。やはり、息子が今にえらくなるのをあてにして待っていた。

それから一年ばかりたって、両人は田舎を引き払って東京へ行くことになった。