Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうぎしょう
老妓抄
岡本 かの子
Lesen Sie 老妓抄 (ろうぎしょう) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.601 Zeichen · 31 Bildschirme
「どうしてそれを思い止ったのか」と柚木は、思い詰めた若い男女を想像しながら訊いた。
「いつ死のうかと逢う度毎に相談しながら、のびのびになっているうちに、ある日川の向うに心中態の土左衛門が流れて来たのだよ。人だかりの間から熟々眺めて来て男は云ったのさ。心中ってものも、あれはざまの悪いものだ、やめようって」
「あたしは死んで仕舞ったら、この男にはよかろうが、あとに残る旦那が可哀想だという気がして来てね。どんな身の毛のよだつような男にしろ、嫉妬をあれほど妬かれるとあとに心が残るものさ」
若い芸妓たちは「姐さんの時代ののんきな話を聴いていると、私たちきょう日の働き方が熟々がつがつにおもえて、いやんなっちゃう」と云った。
すると老妓は「いや、そうでないねえ」と手を振った。「この頃はこの頃でいいところがあるよ。それにこの頃は何でも話が手取り早くて、まるで電気のようでさ、そしていろいろの手があって面白いじゃないか」
そういう言葉に執成されたあとで、年下の芸妓を主に年上の芸妓が介添になって、頻りに艶めかしく柚木を取持った。
みち子はというと何か非常に動揺させられているように見えた。