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Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうじゅんさ

老巡査

夢野 久作

Lesen Sie 老巡査 (ろうじゅんさ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.237 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

の事のように力瘤を入れて読み続けた。ことに世の中の下積になった温柔しい人間が、思いがけない幸運に出会ったり、お上から御褒美を戴いたりする場面にぶつかると彼は、人に気付かれるのを恐れるかのように、ソッと眼鏡を拭いながら、二度も三度もくり返して読み直しては、人知れず溜息をするのであった。

ところが、そのうちにツイ二三日前のこと、フト眼に付いた社会面の大標題を、何心なく見直してみると、彼は思わずドキンとして、老眼鏡をかけ直した。

就職運動に逐われているうちに、忘れるともなく忘れていたけれども、モウ、とっくの昔に捕まっているものとばかり思っていた一年前のK村の強盗殺人犯が二人とも、まだ捕まっていないばかりでなく、益々兇暴を逞しくしているのであった。

倉川家の幸福と共に、彼の運命までも蹂躙し去った二人組の黒装束は、若い倉川男爵が、涙のうちに大枚三千円の懸賞金を投出して、復讐を誓ったにも拘わらず、その後三回までも東京郊外を荒しまわって、警視庁の無能を思う存分に嘲笑したのであった。そのあげく暫く消息を絶っていたが、この頃になって、ズット飛んで京大阪地方に河岸を変えたらしい。