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Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうこうふとでんとう

老工夫と電灯

小川 未明

Lesen Sie 老工夫と電灯 (ろうこうふとでんとう) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.017 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

ひじょうに長くもなかったから、彼は、このトンネルを、あちらに抜けようとしていたのであります。闇の中を歩いてきた工夫は、一つの電燈の下にくると、歩みを止めたのでした。そして、しばらく、ぼんやりとして、電燈をながめたのでした。

彼は、電燈がうらやましかったのです。すべての煩わしい外界からさえぎられて、この暗いけれど安全な、トンネルの中で、じっとして静かな生活を送っていることは、なんというしあわせな身の上であろうと思われたからです。

彼は、もう、世の中の刺戟には、堪えられなくなりました。また、いろいろな喜悲劇を見るのが煩わしくなりました。そこには、平和というもの、公正というものが、まったくなかったからです。

たとえ、気味の悪い、冷たい風が、いつか彼に対しても、すべてのものの終滅を思い出させるように、顔をなでていったけれど、工夫には、気づかないことでした。そして、電燈は、静かに、なんの屈托もなくじっとしていられると思ったからです。

生活に疲れた、哀れな老工夫は、自分も、この電燈でありたいと考えました。それは、寂しい生活であったにちがいない。朝から晩まで、昼から夜まで――いや、そういう区別もなく、永久に、暗く、ただ、見得るかぎりの世界というものは、切り削られた赤土の断層の一部分と煉瓦の堆積と、その割れめからわき