Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのけんこうとし

耄碌寸前

森 於菟

Lesen Sie 耄碌寸前 (おうがいのけんこうとし) von 森 於菟 (もりおと) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.925 Zeichen · 89 Bildschirme

Aozora Bunko

階下からは玄関横の銀杏の木につながれた巨犬ジャン、それは遼陽で露国の将校に別れてから父に飼われた小牛のような犬のうなり声が木立の闇を縫ってきこえた。

なおこの時の祝宴に母しげ子の加わっていないのは、父の出征中の留守の間当時の事情により芝区明舟町の実家荒木家の貸家に入って長女茉莉と共に住んでいたからである。この会合の果ててからおそくなって父が明舟町の家に行ったことは妹茉莉の書いた文にもあり、ここには記さない。その後間もなく観潮楼に帰って一家がまた合したことを私も記憶している。

つぎは明治四十三年の春某日の夕、観潮楼階上で月例の歌会(父は短詩会と呼んでいた)が催されていた。父のほかには竹柏園主人佐佐木信綱、いつも紋附羽織袴お公卿様のような端麗な風采で悠然と柱に背を寄せておられる。わざと縁側に座蒲団を持って来て、あぐらをかき腕を組む肥大漢は根岸派の伊藤左千夫。新詩社のおん大与謝野寛はすべてに滑かなとりなしで起居も丁寧である。皆その日の出題によった短歌の想を練っているのであった。若い人たちはもとの「明星」派が圧倒的に多い。伯爵の若殿吉井勇は大柄な立派な体躯でゆったりと控える。