Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのけんこうとし

耄碌寸前

森 於菟

Lesen Sie 耄碌寸前 (おうがいのけんこうとし) von 森 於菟 (もりおと) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.925 Zeichen · 89 Bildschirme

Aozora Bunko

これも、たくましい青年の家主君からの苦情なのだが、近ごろ、ボディービルとやら称して、やたらに借家を磨きたてることが流行し、友達、特に女の子なんかを引っ張ってきて自慢にするそうである。女の子は昔から家が好きだから顔が映るような縁側を見るなり、「まあすてきね!」という。「けれどね」と家主は述懐する。「たしかに見場が好くなって有難いことは有難いんですが、こう立て続けに、それもバーベルとかいわれる磨き粉で磨かれるものですから、磨滅がひどくて僕なんかもうもちませんよ。」

どうも、あとは野となれ山となれで、借家住いをする店子達にもこまったものだが、たまにいい店子がいても、まことに不幸な事情で住めなくなって、家主と店子が泣きの涙で別れねばならぬこともあるらしい。今から十五年前ほどの話であるが、人間世界で大きな争いが勃発して、全国的な住宅供出運動とやらが繰り拡げられたそうである。この話は、つい先日も僕の死体諸君の間で話題に上った。

「何しろ私ども一軒の家が鴻毛とやらの重さに値踏みされてお召し上げをくったのですからね」と未だに忿懣のさめやらぬ怒気を含んだ調子で、死体の一人は訴えたのである。