Japanische Klassiker mit Furigana
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せいかぞく
聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 聖家族 (せいかぞく) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.074 Zeichen · 33 Bildschirme
「あら、そうですの」
絹子はそれを聞くと同時ににっこりと笑った。いかにも朗らかそうに。そして自分でも笑いながら、こんな風に笑ったのは実にひさしぶりであるような気がした。
このながく眠っていた薔薇を開かせるためには、たった一つの言葉で充分だったのだ。それは踊り子の一語だ。扁理と一しょにいた人はそんな人だったのか、と彼女は考え出した。私はそれを私と同じような身分の人とばかり考えていたのに。そしてそういう人だけしか扁理の相手にはなれないと思っていたのに。……そうだわ、きっと扁理はそんな人なんか愛していないのかも知れない。もしかすると、あの人の愛しているのはやっぱし私なのかも知れない。それだのに私があの人を愛していないと思っているので、私から遠ざかろうとしているのではないかしら。そうして自分をごまかすためにきっとそんな踊り子などと一しょに暮らしているのだ。そんな人なんかあの人には似合わないのに……
それは少女らしい驕慢な論理だった。しかし、大抵の場合、少女は自分自身の感情はその計算の中に入れないものだ。そして絹子の場合もそうだった。
※(アステリズム、1-12-94)