Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せいかぞく
聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 聖家族 (せいかぞく) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.074 Zeichen · 33 Bildschirme
突然、彼女がそこに立ち止まってしまったのだ。
「あの、どこかこのへんに休むところはございませんかしら。なんだかすこし気分が悪いものですから……」
青年はすぐその近くに一つの小さなカッフェを見つけた。――そのなかに彼等がはいって見ると、しかしテエブルは埃のにおいがし、植木鉢は木の葉がすっかり灰色になっていた。それをいまさらのように青年は夫人のために気にするように見えたけれど、夫人の方ではそれをそれほど気にはしていないらしかった。鉢植の木の葉の灰色なのは自分のかなしみのためのように思って居るのかも知れぬと青年は考えた。
青年は夫人の顔色がいくらかよくなったのを見ると、すこし吃りながら言った。
「僕、ちょっとまだ用事がありますので……すぐまた参りますから……」
そうして彼は立ち上った。
そこに一人ぎりになると、細木夫人はまた目をとじて死人の真似をした。
――まるで舞踏会かなんぞのようなあの騒ぎは何ということだろう。私にはとてもあの人達の中へはいって行けそうもない。私はこのまま帰ってしまった方がいい……
それにしても夫人はいまの青年の帰ってくるまで待っていようと思った。