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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょっこうとびしょう

職工と微笑

松永 延造

Lesen Sie 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) von 松永 延造 (まつながえんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.696 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

私はこの時、自暴自棄な気持になって、隣家の様子を伺いました。そして、ああ何を致したでしょう。ハンケチを盗み取って来ると、それを旗のように振って父親に見せびらかし、それから母親の頭へフワリと冠せると、狂的な笑い方をして、その場へ倒れ、足で壁をたたいたので御座いました。

父は腹の底から出て来るような深い笑い方を致しました。カツギを冠った母は何だか踊りの手拍子のような事をして見せました。

それは滑稽で御座いました。けれど之が滑稽であって宜いのでしょうか。

『悲しいな、悲しいな、小鳥は何処へ行った。』私は斯う思って外の空を眺め、もう自分が大変に悪い女になっているのを愍傷しつつ、せめてもの罪滅ぼしに遊んでいる子雀へ米を投げてやりました。

けれど、もう駄目だったのです。鏡を見ても、耻かしい気も起らなくなりました。『なあに、仕たい事は何んでもするが好い。それから仕たくないこともどんどんとするが好い。』私はそんな風に叫んだので御座います。

私は二度上手に物を盗みました。そして三度目に、未だ手馴れぬため、あのセルロイドの櫛を取り損って了ったのです。お許し下さい。お許し下さい。