Japanische Klassiker mit Furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Lesen Sie 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) von 松永 延造 (まつながえんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.696 Zeichen · 144 Bildschirme
」
未だ未だ手紙は来ては破かれ、捨てられた。
「畜生!」と私は独りで怒鳴った。「手前達二人に情死なぞ出来るものか? お互いに殺しっこをしても自分は救われようとしている癖に、二人で川へなぞ入れるものかい、馬鹿! 手前等は引き潮の時に潮干狩りでもしやがれ。二人で引かき合え。喰いつき合え。だが何うして一緒に姉妹心中なんかが出来るもんかい。」ああ之は何と云う無慈悲であったろう。
妹の冤罪で憤怒し狂乱している私の心は全く悪辣になった。私は自分でそれを悲しみ、泣き、悔い、又怒った。そして結局は何も悲しまず、悔いないのと同じであった。
そして時には、自分と自分の周囲とを忘却するために、憎んでいる女等のもとに走っては、獣の如きことを繰返した。女等はその度に思い出して私を怨み、時には柔かな手で私の頬を打った。何故か私は「打て、もっと打て!」と叫びつつ、少しも抵抗しなかった。それは相手を憐愍するから起る忍耐ではなく、ああ実に、聴く人があらば聴いて貰いたい、実に、それは、自分から自分を侮辱し軽蔑する自棄と放胆とから生じた忍耐であった。
では之が一切であったか。之が起った事の凡てであったか。