Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

かんぞうせんせい

肝臓先生

坂口 安吾

Lesen Sie 肝臓先生 (かんぞうせんせい) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.194 Zeichen · 46 Bildschirme

Aozora Bunko

敵機がこれを軍事的な何物かと誤認することは当然だった。

私は茫然として為す術を失い、ただ先生の姿を待って海上に漂うのみであったが、やがて、夕頃、警報も解除となり、救助艇に助けあげられた。娘は腕に負傷していたが、ケナゲな娘で、よく最後まで、私とともにがんばってくれた。

人々に助けられても、娘はうつむいているのみで一言も喋らなかったが、自分のために先生を殺したことの自責に、あらゆる言葉を失っていたのであった。

★

こうして肝臓先生は相模湾の底深く無と帰してしまったのだ。

私は烏賊虎さんから先生の生涯の事蹟をきき終ると、感無量であった。このような仁者を、このような粉骨砕身の騎士を、業半ばにして海底のモズクと化した悲しさよ。しかし、また、なんたる壮烈な最期よ。

私は、今見下している南海の夏の太陽のギラギラした海に、無と帰した先生の何かが、たとえば放射能のように残り、漂っていると思うと、そのなつかしさに、たまらなくなるのであった。

私は腸からほとばしる涙を感ぜざるを得なかった。そして私は、私の無力を知りながら、この偉大な先生のために碑銘を書きしるすことの光栄に感奮し、筆も折れよと握りしめて、そして書いた。