Japanische Klassiker mit Furigana
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のうのなかのれいじん
脳の中の麗人
海野 十三
Lesen Sie 脳の中の麗人 (のうのなかのれいじん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.774 Zeichen · 28 Bildschirme
奇異の患者
「ねえ、博士。宮川さんは、いよいよ明日、退院させるのでございますか」
「そうだ、明日退院だ。それがどうかしたというのかね、婦長」
「あんな状態で、退院させてもいいものでございましょうかしら」
「どうも仕方がないさ。いつまで病院にいても、おなじことだよ。とにかく傷も癒ったし、元気もついたし、それにあのとおり退院したがって暴れたりするくらいだから、退院させてやった方がいいと思う」
「そうでしょうか。わたくしは気がかりでなりませんのよ」
「婦長。君は儂のやった大脳移植手術を信用しないというのかね」
「いえ、そんなことはございませんけれど……」
「ございませんけれど? ございませんが、どうしたというのかね」
「いいえ、どうもいたしませんが、ただなんとなく、宮川さんを病院の外に出すことが心配なんですの。なにかこう、予想もしなかったような恐ろしい事が起りそうで」
「じゃやっぱり君は、儂の手術を信用しとらんのじゃないか。まあそれはそれとしておいて、とにかく儂は宮川氏を退院させたからといって、後は知らないというのじゃない。一週間に一度は、宮川氏を診察することになっているのだ」