Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

じぶんをむちうつかんげきより

自分を鞭打つ感激より

小川 未明

Lesen Sie 自分を鞭打つ感激より (じぶんをむちうつかんげきより) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.270 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

田舎の小学校の庭であったが、林から独り離れて校庭の中程に、あまり大きくない一本の杉の木が立っていました。生徒等は、この木をば、目印にして鬼事をしたり、そのまわりで、遊んでいました。いつしか木の根許の土は、堅く石のようになり、その木の垂れ下った大枝は折られ、木の幹の皮は剥がれて、悲惨なものになりました。そのうちに冬が来て、雪は、その木の半分を埋めてしまった。

哀れな枝は寒い風に吹かれて、恐らく、その年のうちにも枯死するものと思われました。しかるに雪が解けて、春となって、いろ/\の木が芽ぐんだ時分、その杉の木も新緑を芽ぐんだのでした。二たび子供等は、校庭へ出て遊ぶようになりました。

その時、年とった体操の教師が、この木の下に立って、さも痛ましそうにして、皮の剥がれた幹を撫していましたが――よくこれで水を吸い上げるものだと言わぬばかりの顔をしながら――やがて、何に深く感動してか、溜息を洩らして、

「苛められる者は、強い!」と、言いました。

傍で、彼の独語を聞いていた私は、曾て覚えなかった程の印銘を、その言葉から感じたのです。そして、日の光りに照されて輝く老教師の禿頭をじっと見守りました。