Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Lesen Sie 自叙伝 (じじょでん) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.021 Zeichen · 230 Bildschirme
僕がはいって行くと、みんなは泣きはらした目をやはり先きの人達と同じように大きく見はって僕の顔を見つめていたが、僕がまた「お母さんはどこにいます」と聞くと、その中の女の人達はまたわあと声をあげて泣きだした。そして誰一人僕の問いに答えてくれる人はなかった。僕は変な気持になりながら、仕方なしに、また襖をあけて玄関の奥の一室にはいった。そこは母の居室になっていたものと見えて、箪笥だの鏡台だのがならんでいるだけで、誰もいなかった。僕はそこに突ったったまま、一体どうしたことなんだろうと思いながら、ぼんやりしていた。
そこへ、それが誰だったかはもう忘れてしまったが、とにかく母と親しくしていたそして僕も好きだったある軍人の細君がはいって来た。
「あなたはまあどうしたんです。お先きにいらっしたんですか。」
彼女もやはり目を泣きはらしながら、しかししっかりとした口調で叱るように言った。僕はその「お先きに」という言葉が何のことだか分らなかった。しかし、とにかく、
「いや、僕は今東京から来たんです。」
とだけ答えた。
「それじゃあなたは新潟へはいらっしゃらなかったんですか。」