Japanische Klassiker mit Furigana
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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Lesen Sie 自叙伝 (じじょでん) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.021 Zeichen · 230 Bildschirme
僕も一緒になって掘りはじめた。収穫は大ぶ多かった。が、僕はそれをすっかり虎公にやってしまった。
「虎公のうちは貧乏なんだから……」
僕はそうきめていたのだ。虎公はまた釣が好きで、よく朝の三時頃から連れ出されたが、そんな時にもいつも僕は全収穫を虎公にやっていたのだ。
が、帰りがけに僕は、母が何かちょっとした病気で寝ていることを思い出した。そして百合の花をおみやげに持って帰ることに気がついた。僕はあちこち駈け廻って、なるべく大きそうなそして幾つもの花のついている、十幾本かを蒐めた。
二人とも大喜びで帰った。そして僕はすぐに離れの母が寝ている室へ行った。
「根の方を持ってくればいいのにね。ほんとにお前は馬鹿だよ。そしていつも虎公にそんな目に遭っているんだろう。」
母はもう大ぶしおれた花には目もくれずに、僕が虎公に百合の根をやってしまったことを批難した。
僕はこれほど悲しかったことはなかった。涙も出ずに、ただ胸がそくそくと迫って来るような悲しさだ。そして僕はそのわけを母に話すこともできずに、というよりはむしろ、そんな気は少しも起らずに、しおしおとして自分の室に帰った。