Japanische Klassiker mit Furigana
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme
」
「それなら、御存じでしょうが、鵞鳥というものは、水がなければ、池とか川とかいう水がなければ、育たないものでしょうかしら。」
相手が真面目なだけに、北村は返答に困った。鵞鳥の絵をかいたとて、鵞鳥の生態を知ってるとは限らない。また、鵞鳥の生態などに、なんで富子は興味を持ち出したのか。――だが、富子は案外正直だった。主人が夜間の戸締りをうるさく言う由を開いて、親しい某夫人が、鵞鳥をお飼い遊ばせと勧めたそうである。盗人よけには鵞鳥に限る。どんな番犬でも、その道の方法を以てすれば、容易く手馴ずけることが出来るし、飼養料は高くかかる。電気器具の類は電線を切ればすべてだめになる。ところが鵞鳥は、何でも食べるし、卵も産むし、どんなことをしても知らない人には馴ずかないし、些細な物音にもガアガア鳴き立てる。この鳴き声がまた大変なもので夜、夜中でも、誰だって眼をさます。四五羽の鵞鳥さえおれば、盗人の心配は決してなく、枕を高くして眠れるというものだ。ただ困ったことには、水がなくて、つまり池か川がなくて、果して鵞鳥が育つものやらどうやら、誰も知らない。松本家には池も川もないのである。