Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme

Aozora Bunko

家中が霹靂に打たれたようにひっそりとなった。――女中が恐る恐るやって行くと、父はもう寝所に寝ていて、氷枕を用意せよと命じた。

翌日、父は一日寝ていた。頭痛がすると言った。――それきりだが、父はなお、軽微な頭痛と不眠から脱けきれないでいるらしい。

北村と千重子は、ただ何ということなしに、木影の石に腰をおろして、話していた。北村はステッキの先で地面をかき廻した。

「いったい、お父さんは、何をそんなに怒ったのかね。」

「それが分らないの。あとで、お母さま、裏木戸の夜分の締りを、女中たちにきつく言いつけていらしたから、そのことかしら。あすこは、締りをよく忘れるから、朝早く庭をお歩きなさるお父さまに、何度も見付かるんですの。でも、少しへんね。」

「なにを言うんだ。それぐらいのことで、九谷焼の銚子を投げつけて、硝子戸を打ち破ったりするものか。」

「だからおかしいわ。」

「硝子戸を打ち破れば、それだけ、戸締りが不用心になるわけだ。」

戸締りを厳重にすることは、松本夫妻の殆んど性癖とも言ってよいほどだった。建物の戸口は固より、表門やその潜り扉、裏庭の木戸、板塀の強弱などまで仔細に見調べねばならなかった。